”GUCCI”を再建させ映画監督の顔も持つ”トム・フォード”(TOMFORD)

ファッションデザイナー、映画監督とマルチな才能を持つトムフォードの歴史を紹介します。

トム・フォード(TOM FORD)

1961年8月27日テキサス州のオースティン生まれのファッションデザイナー。映画監督。

トム・フォードの歴史

1961年〜10代

1961年にアメリカ合衆国テキサス州のオースティンで生まれました。

10代をニューメキシコ州サンタ・フェで過ごし、ニューヨーク大学で美術を学びながら俳優を志します。当時は俳優業での活躍が多く、大学生の頃はCMなどに出演しています。

俳優業を行っている傍ら、アートやファッションに興味を持ち、ニューヨーク大学での在学期間1年でNYのパーソンズ・ザ・ニュースクール・フォア・デザインに編入し、86年まで建築、インテリア・アーキテクチャーを学びます。

この頃、クロエ(Chloe)のメゾンでインターンとして働いていたそうです。

当時、最先端のナイトスポット「スタジオ54」に出入りし、デヴィッド・ボウイ、マイケル・ジャクソン、アンディー・ウォーホルら時代の寵児たちと親交を深め、ファッションやアートの世界に刺激を受けます。

1986年〜1988年

1986年キャシー・ハードウィックのデザインスタジオでデザイナーとしてのキャリアをスタート。

1988年ペリー・エリスのもとで経験を積み、デザインディレクターになります。

1990年〜1999年

1990年に”GUCCI”のレディースラインのデザインを担当することを機に、活動の場所をニューヨークからミラノへ移します。ここから”トムフォード”の大躍進が始まります。

1994年レディースでの功績が認められ、トム・フォードは”GUCCI”のクリエイティブディレクターに就任します。

しかし、当時の”GUCCI”は崩壊しており深刻な業績不振で経営が壊滅状態でした。前クリエイティブ・ディレクターのドーン・メローが必死で再建している最中、ドーン・メローに押されるかたちでの新クリエイティブディレクターの抜擢でトム・フォードは立て直しに奮闘しました。

90年代、不振に悩んでいた”GUCCI”はトム・フォードと最高経営責任者(CEO)のドミニコ・デソーレの手によって再生。1994年の2.3億ドルから10年で30億ドルまで増加した。トム・フォードがクリエイティブディレクターになってから10年後には、売り上げを10倍以上にも増加させ、ファッション業界の伝説になっています。

後にこの復活劇は「トム・フォード シンドローム」と呼ばれるようになります。 

1995年VH-1のファッションズ・フューチャー・ベスト・ニュー・デザイナー受賞

1996年メンズウェア・アンド・ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤー受賞

1999年にはウィメンズ・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。

2000年〜

2000年からグッチグループのイヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)買収に伴って、サンローランのプレタポルテ部門でリヴ・ゴーシュのクリエイティブディレクターをも兼任し、イヴ・サンローランおよびグッチグループ全体のクリエイティブ・ディレクターも兼務。 

 2004年4月に”GUCCI”を去ったトム フォードとドミニコ・デソーレは2005年に、自身の名を冠した”TOMFORD”を立ち上げ、オートクチュールなデザインをメインとしたメンズファッションを中心に展開をしていった。

2005年に映画製作会社フェイド・トゥ・ブラックを設立。

2006年に高級紳士服を扱う”エルメネジルド・ゼニア”(ERMENEGILDO ZEGNA)と製造提携し世界展開。

2008年公開の映画『007/慰めの報酬』からジェームズ・ボンド着用のスーツデザインを担当。ブリオーニ(BRIONI)から”トム・フォード”によるデザインに変更となることが決定します。

2008年CFDAのメンズデザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞。(アメリカファッション協議会”COUNCIL OF FASHION DESIGNERS OF AMERICA、CFDA”が主催するファッション業界のデザイナー、ブランド、メディアを表彰するアワード。)ファッション界のオスカー賞とも言われる。

2009年映画「シングルマン」で映画監督デビュー。

2012年公開された映画「007/スカイフォール」でも再びボンドスーツを提供して話題となりました。

2016年映画「ノクターナル・アニマルズ」を発表。2作目にしてヴェネツィア国際映画祭審査員大賞受賞。

まとめ

トムフォードは長年連れ添ったリチャード・バックリー氏と同性婚を公表しています。(元『VOGUE HOMME International』の編集長を務めたジャーナリスト)

ファッション業界には類稀な才能を持つデザイナーがたくさんいますが、中でも同性愛者の方たちは飛び抜けた素晴らしい感覚を持っているなといつも感心してしまいす。

GUUCI再建や自身のブランドもそうですが、映画監督、アートやファッションなどの美的感覚はトムフォードの感覚が凝縮されていてとても美しい世界観です。