クリーニング屋さんが教える高級感のある”アセテート”の特徴と注意点。
シルクのような光沢で高級感がある”アセテート繊維”をクリーニング屋さんが解説していきます。
アセテート
アセテート繊維は、酢酸を反応させたアセチルセルロースにより作られる半合成繊維。付加するアセチル基の数で呼び名が異なり、2つ付いたものをジアセテート、3つが付いたものをトリアセテートと呼ぶ。
主にセルロース系(アセテート、トリアセテート)とタンパク質系(プロミックス)があります。
アセテートの特徴
アセテートは、絹のような風合い、肌触りを持ち、吸湿性や吸水性も適度にある繊維です。プリーツ性もあるため、デザインが重要となる女性物の服飾分野では特に多く活用されます。
洗濯では、しわになりやすく、繊維自体の強度が水に濡れる事で低下し、擦ると繊維が白化し光沢感が失われます。
繊維断面はクローバーの葉のような形状をしています。繊維方向には数本の線条が走っています。
成分
木材パルプ(セルロース)を原料に、酢酸を反応させたアセチルセルロースより作られる繊維質です。
天然原料から得られる成分に、化学薬品を用いて繊維状に加工したもので、主にセルロース系(アセテート、トリアセテート)とタンパク質系(プロミックス)があります。
用途
プリーツ性や絹のような風合いから婦人服によく使われます。フォーマルウェア、ワンピース、ブラウス、セーター等。
たばこのフィルターには、セルロースの三つの水酸基のうちの二つがアセチル基に置換されたジアセテートが使われています。日用品としてはメガネのフレーム等にも使われます。
アセテートのデメリット
シワがつきやすい
強度が弱く、洗濯の際にシワがつきやすかったり、摩擦によって折り目など強くテンションがかかる部分に白化が発生しやすくなります。(白化:繊維が毛羽立ち光沢が低下し白っぽくなる現象)
熱に弱い
熱を加える事で、繊維が溶けたり白化が起こりやすく、風合いが著しく低下します。
薬品に弱い
しみ抜きに用いるアセトン、シンナーなどの溶剤に溶ける性質があるため、染み抜きには特に注意が必要です。
アセテートのメリット
着用性
絹のような光沢を持ちつつ、プリーツ性があり、熱可塑性があるため、プリーツが元に戻ります。
保温性、吸湿性、弾力性がある繊維で、ふっくらした毛のような風合いを持ちつつ、軽い繊維です。
まとめ
アセテートは主に、フォーマルウェア、ワンピース、スカート、ドレスなどに多用されている繊維です。
アセテートは扱いが難しいので、アセテート100%など、アセテートが多く使用されているフォーマルウェア、ワンピース、スカート、ドレスなどは、クリーニング店に出すことをお勧めします。
自宅でアセテート製品を洗う際には、水洗いをするとシワがキツく入ってしまうので、手洗いか弱い洗いを行い、脱水も短めにすることをお勧めします。
また、アセテートは吸湿性が良く、しみが繊維に浸透しやすい上に、さらにしみを除去する油性の薬品にも弱いため、取り扱いが非常に難しいクリーニング屋泣かせの繊維でもあるため、アセテート製品のトラブルは技術のあるクリーニング店に相談しましょう。