”キレート剤”とは?クリーニング屋さんが教えるその効果と特徴。

洗濯用洗剤に入っている、キレート剤(金属封鎖剤)とは何なのか?解説していきます。

キレート剤(金属封鎖剤)

キレート剤(金属封鎖剤)とは、水中に含まれるカルシウムイオンや鉄イオンなどが他のイオンと結合するのを阻止する働きをするものです。 エデト酸、クエン酸などがあります。

キレート剤の効果

洗濯洗剤に含まれるキレート剤は、どのように作用しているのかを細かく解説していきます。

洗濯用洗剤とキレート剤の効果

キレート剤は洗濯用洗剤の洗浄性能を向上させる為に添加されています。

汚れを落とすための主成分である界面活性剤は、衣類の汚れを取り込んで、繊維から放して水の中にマイナスイオンとして分散します。汚れを取り込んだマイナスの界面活性剤同士は弾き合い、繊維に再びくっつくことなく水中に分散されます。

ですが、水の中や汚れの中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの金属はプラスイオンなので、せっかく汚れを包み込んだマイナスの界面活性剤は、カルシウムやマグネシウムなどのプラスイオンと出会う事で相殺され、再び水中に汚れを放出されてしまいます。

キレート剤は、プラスの金属イオンとくっつくことで、活性を低下させます。プラスの金属イオンとキレート剤が反応して生成した化合物はキレート錯体と呼ばれ、沈殿せずに可溶状態を維持することで界面活性剤の洗浄を助けているのです。

食品への添加

キレート剤として使われるクエン酸は、レモンやオレンジなどの柑橘類の主成分として有名です。食品の味を良くするための酸味料として使用されています。また、体内に入ったミネラルとキレートを生成し、吸収しやすくする働きがあります。

環境への影響

ニトリロ三酢酸はリンと並ぶ富栄養化物質である窒素を含んでいるため、一部の国を除いては使用されていません。

エチドロン酸(ヒドロキシエタンジホスホン酸)もキレート剤として使用されることがありますが、これはプランクトンなどの成長につながる富栄養化物質であるリンを含んでいます。

エチレンジアミン四酢酸(エデト酸)は環境中でほとんど生分解されないため、最近では、生分解されるキレート剤として、L-アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、L-グルタミン酸二酢酸(GLDA)などが登場しています。これらは、難分解性のエデト酸との比較で「生分解性キレート剤」と呼ばれていますが、生分解には時間がかかる(完全分解には約4週間ほどかかるとされている)ため、洗剤に使われた場合には、環境に負荷をかける物質のひとつだと考えられます

まとめ

水道水を利用する洗濯洗浄にキレート剤は欠かせない成分の一つです。

洗濯には界面活性剤以外にも、色んな成分が目には見えないミクロやナノといったレベルで活躍しています。