クリーニング屋さんが教える”合成洗剤”と”石けん”の歴史。

近年サステナブル化が進み、「環境」「経済」「社会」に対し様々な企業がSDGs(エスディージーズ)「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」に積極的に取り組んでいます。

洗濯用洗剤も環境に配慮されたものも多く見かけるようになりました。

石けんの歴史

石けんとは、石けん素地やカリ石ケン素地、もしくは純石けん分(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)という成分でできているものです。

石けんの起源は約1万年前と言われており、肉からしたたり落ちる油と木の灰が反応した土が、汚れを落とす土として発見されたのが石けんのはじまりと言われております。

日本で石けんが使われるようになったのは室町時代の頃で、それまでは米のとぎ汁やぬか、植物の実の皮など、自然のものを使って洗たくをしていました。

石けんは、1900年代後半には生活には欠かせないものになり、清潔になったおかげで、伝染病が減り、平均寿命がのびたといわれています。

合成洗剤

合成洗剤は石油から作られる洗剤のことです。

合成洗剤が誕生したのは、いまから100年程前と言われており、動植物からとれる油脂の不足を補うために開発されました。

日本では、1937年に最初の合成洗剤が発売されています。

1960年代頃から急激に普及し、より洗浄力が強く、洗うものの種類に合わせた合成洗剤が開発されていきました。

合成洗剤の汚染問題

1960年代に合成洗剤が普及すると共に、自然環境への害も問題視されるようになりました。

家庭や工場からの排水が川や湖に流され、泡が大量に残り、魚などに影響を与え始めました。

原因は、合成洗剤に含まれるABS(分岐アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)という界面活性剤の成分でした。

ABSは高い洗浄力と泡立ちの良さで多く使用されていましたが、分解されにくいためたくさんの泡が残りました。

富栄養化問題

1970年代には、海や湖の「富栄養化」現象が問題になりました。

合成洗剤の界面活性剤の力を強めるために添加されていたリン酸塩などを栄養分にプランクトンが増えすぎてしまう現象です。

リン酸塩は、カルシウムやマグネシウムなどを含んだ水でも泡立ちがよくなるように使われていました。

富栄養化になると、魚のえらにプランクトンの死骸がつまったり、水中の酸素が不足して、水生生物の生態系に悪影響を与えてしまいました。

1977年には、滋賀県の琵琶湖で赤潮が大発生して深刻な問題となりました。

改善

こうした問題に対し、洗剤メーカーや行政は改善に取り組み出し、微生物に分解されやすいLASという界面活性剤を利用したり、リン酸塩のかわりにゼオライトやクエン酸を利用することで改善されていきました。

また生活排水の処理をするため、下水道や下水場処理場の整備を進めました。

現在の洗濯用洗剤

現在では石油由来のもの、植物系、動物系などの天然由来のものとがあります。

様々な規制もされて昔ほどの水質汚染はありませんが、石油由来の洗剤が多く使われていて少なからず水質を汚染しているのは事実です。

合成洗剤は、肌が弱い方などは肌荒れなどの悪影響もあり、近年のサステナブル化と共に、天然由来の石けんを使う方も増えてきています。

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感想(4件)

こちらは、シャボン玉石けんの液体タイプです。

シャボン玉石けん株式会社は、SDGsに力を入れ取り組んでいる会社です。

肌が弱い方や、環境に配慮されている方に選ばれている洗剤です。

粉末もありますが、粉が舞ったり多少使いづらいので液体タイプがおすすめです。

まとめ

合成石鹸と石けんの見分け方は、製品の成分表示を見ればわかります。

石けんの場合は石けんと表記されています。

それ以外は植物由来でも動物由来でも合成洗剤になります。

合成洗剤も悪いことばかりではなく、大事なのは自分たちが使う物がどんなものかを知って使用すると言うことだと思います。

少しでも知識をつけ、知ることが環境への配慮だと思いますし、サステナブル化への第一歩だと思います。