クリーニング屋さんが教える夏のお祭り花火大会で着る”浴衣”の洗い方。

夏のイベントには欠かせない浴衣の洗い方をクリーニング屋さんが解説します。

浴衣

浴衣の語源は、湯帷子(ゆかたびら)と言われ、平安時代、貴族が蒸し風呂に入る時に、水蒸気でやけどをしないようにするための着衣でした。その後、裸で入浴する文化になり、入浴後に身体全体についた汗や水分を吸う綿素材のものが湯上がり用の着衣となり、寝間着としても用いられるようになりました。 江戸時代の中期に入り現在のような外出着にも着られるようになりました。

染め物・プリント

染め物

古典柄と言われる浴衣には紺地と白地が多く見られます。白地の浴衣は昼用で、紺地の浴衣は夕・夜用として使い分けています。紺色に染めるために使われてる”藍”に含まれる成分を虫が嫌うことから、虫の多く出る夕方から夜にかけて着用するのが良いとされています。

藍染めなどの染色された浴衣は、色落ちしやすいため汗や洗濯で色が溶出してしまいます。

プリント

近年の浴衣の多くがプリントで加工されており、洗濯しても色落ちしないものがほとんどです。

また、素材も綿だけではなくポリエステルなどの化繊が使われるようになり、染色性が高まる要因となっています。

洗濯もできて、手入れが簡単で種類やデザインも豊富なので現在はプリント柄の浴衣が主流です。

浴衣の洗い方

藍などの特殊に染色された浴衣は、色落ちの程度によって洗い方を変える必要があり、色の程度によっては洗うことが出来ません。

プリントの洗い方

プリントの浴衣は、染色不良の物でなければ洗濯機でそのまま洗うことが出来ます。

色が稀に出るものもありますので、洗濯する前に、色の濃い部分に洗剤をつけて白い布で揉んでテストしてみてください。色が布に付くようであれば洗濯機では洗うことが出来ません。

染め物の洗い方

染め物の浴衣は、基本は手洗いをして色落ちを最小限に抑えるというやり方です。(テスト段階で大量に色が落ちるものは洗えません。)

浴衣以外のジーンズや藍染めなどの染め物も同じやり方で手洗いします。

洗う際には大きなバケツか、なければ浴槽が良いでしょう。全体がストレスなく浸かるようにしてください。

1、洗剤は中性洗剤(浴衣一着分でペットボトルのキャップ一杯分程度 )

アルカリ性の洗剤や石けんを使うと色落ちしやすくなります。

2、水は真水(夏場は氷水) 

温度のある水を使うと色落ちしやすくなります。

3、押し洗い、になります。

繊維を揉んだり擦ったりすると色落ちしやすくなります。

その後、新しい水で濯いでください。

更に色落ちが気になる方は、洗剤を使わずクエン酸を薄めた水で押し洗いしてください。(クエン酸は浴衣一着分でペットボトルのキャップ一杯分程度)クエン酸は、色止めの効果があります。

脱水・干し方

脱水

脱水は、出来るだけキレイに畳んで軽く手で絞ってください。力強く絞ると色が移ります。

あらかた絞ったら、ハンガーにかけてバスタオルなどのタオルで水気を出来るだけ取り除きます。(バスタオルは色が着きますので新しいものではないものが良いです。)

この時に水分がたくさん残っていると、乾燥過程で色の滲みが大きくなってしまうので、出来るだけ拭き取りましょう。

干し方

干し方は、出来るだけ袖が下に垂れないような”カカシ型”で干すことが望ましいです。

袖が垂れると、色が他の部分に移ってしまうのと、乾いた後シワになるのを防ぐためです。

まとめ

浴衣のポイントは二つ。

一つ目は、色が出るものと出ないものをテストすること。あまりにも出るようでしたら技術のあるクリーニング屋さんか着物を取り扱っているお店に相談しましょう。

二つ目は、シワを作らないこと。浴衣は面積が広いのでシワだらけだとかなり目立ち、浴衣の良さが半減してしまいます。

洗濯機で洗えるものなら、キレイに畳んで洗濯することでシワをある程度防げるのと、干す前に濡れた状態でアイロンを当ててシワを伸ばすのもクリーニング屋さんが行うテクニックの一つです。

おまけでもう一つ。

浴衣を着る前に虫除けスプレーを浴衣にかけておくと、虫が多く発生する夏場のお祭りや花火大会などで効果的です。

是非お試しください。