クリーニング屋さんが教える”藍染”の特徴とジーンズの洗い方。

明治初頭、来日した英国人科学者のアトキンソンが、町が藍色に彩られている様子を”ジャパン・ブルー”と表現したのが由来で、彼の著書『藍の説』にその時の様子が綴られています。

身分を定めた「冠位十二階」の中でも上から二番目の位色も藍色であったと言われています。

そんな日本のイメージカラーである”藍”をクリーニング屋さんが解説していきます。

藍染とインディゴ染

”藍染”と”インディゴ染”の違いは、”藍染”は天然藍のみで染められた染め物で、”インディゴ染”は天然藍を用いて化学的に手を加えて作られた染料で染めた物となります。

藍染めに使われる”藍”は、染料以外に”薬草”としても使われてたと言われています。

主成分は同じです。

藍の全草を湿布にしたり、種子を煎じて解熱・解毒剤として服用することもあったそうです。その他にも藍は、殺菌、消炎、止血、虫除け、など様々な用途で使用されていたようです。

藍染(天然インディゴ)

 蓼藍(タデアイ)と呼ばれ、タデ科の植物の葉っぱを発酵させて作った藍液を用いた染色。 藍液に浸した布や糸を引上げると,大気中の酸素と反応して,初め緑色,やがて紺色に発色する。

成分

蓼藍(タデアイ)と呼ばれ、タデ科の一年草です。 成分であるインディゴが青色を発色し、最古の染料として糸や布の染色に用いられてきた天然染料です。 世界には藍の色素を含む植物が百種類以上知られています。

特徴

自然の成分で染まりにくく、色むらが出来やすい性質がありますが、逆にその時にしか出せないオリジナル性や藍染めならではの深い発色を持つ。

職人の技術によって長い時間と手間をかけて、独特の風合いを作り上げる。

インディゴ染(合成インディゴ)

天然藍に比べ扱いやすく、染まりやすい性質を持ち、濃い色に染めるのに藍だと十数回以上は染めが必要なのに対して、インディゴ染料は数回で同じ色の深さに染めることが出来ます。

成分

インディゴは天然藍の色の成分だけを石油を原料として合成的に作り出した合成染料です。

特徴

合成インディゴは不純物がほとんど含まれていないため、天然藍に比べ染めムラがほとんどなく美しい色合いに仕上がります。一般的なデニムの多くは、この合成インディゴ染め製品です。

不純物がなく、ムラのない一定のものが生産できるということも、合成インディゴが主流とされている理由のひとつです。

用途

ジーンズ・法被・半纏・手ぬぐい・暖簾・前掛け・足袋・浴衣など。

ジーンズの洗い方

近年のジーンズは、染料・染色の進歩により激しく色落ちすることがほとんどなく、家庭の洗濯機でも洗えるものが多くなっていますが、ヴィンテージジーンズや色落ちが気になる品物は、洗濯機ではなく手洗いがベストです。

洗う際には、真水で液体の中性洗剤を使い押し洗いしてください。夏などの気温が高い時期は真水に氷を入れて温度を下げましょう。

温度が上がると染料が溶出しやすくなります。

粉末のアルカリ性洗剤などを使うと、色が溶出しやすくなります。

激しく品物を動かすことで色が溶出しやすくなります。

まとめ

ヴィンテージジーンズなどは、当時のまま洗わず・履かずに大事に保管する方もいますが、その際には必ず脱酸素を徹底しないと繊維が酸化してやがてボロボロになります。

汚れているものは更に酸化を加速させますので、出来れば洗って汚れをある程度除去してから、窒素パックなどの脱酸素を徹底して保管するのががベストです。