クリーニング屋さんが教える高級繊維”シルク”の特徴と注意点。
シルク(絹)は古くから高級な交易品として活躍してきた繊維です。その高級繊維であるシルクをクリーニング屋さんが解説していきます。
シルク(絹)
蚕の繭 (まゆ) からとった絹糸・絹織物の総称。動物繊維(たんぱく質繊維)に分類される。
シルクの特徴
高級感や軽さ、滑らかな肌触りなどを兼ね備えた、繊維の中でも特に美しい繊維ですが、非常に繊細で摩擦や日光に弱い性質を持ちます。
二本の繊維となるフィブロインの外側を、にかわ質のセリシンが覆う構造をしているため、繊維の断面は楕円形、あるいは三角形となっています。
産業用の家蚕と野生の野蚕に二種があり、野蚕は希少な絹として扱われます。
成分
絹の成分は、タンパク質です。
用途
肌触りの良さ、軽さ、風合いや、独特の高級感をもつ光沢などから高級衣料に多く使われています。衣料品のうち、シャツやブラウスなどをはじめ、ネクタイや着物にも多用されます。また、天然のタンパク質からできた糸であることから、医療用の縫合糸として使われることもあります。
シルクのメリット
非代替性
保湿性、吸湿性、通気性に優れ、肌触りの良さ、軽さ、風合い、光沢があり、また染色性もよいため、美しい色に染まります。その高級感は独特なものがあり、他の繊維では代替が困難ですが、最近では化学繊維でもほとんど見分けがつかないようなものも存在しています。
シルクのデメリット
紫外線
日光に弱く、耐久性・耐候性に欠け、黄ばみやすく変色しやすい。染色も弱い。
耐熱・耐摩擦性
タンパク質を成分としているため、熱に弱く、縮みやすいで性質があり、摩擦により外側のフィブロイン質が傷つきやすいため、毛羽立ち白化などの風合いの変化を起こしやすくなっています。
虫食い
シルクはタンパク質でできているため、衣類害虫のエサとなり虫食いを発生させます。
まとめ
シルクは、非常に繊細な繊維のため、家庭での洗濯には適しておらず、洗う際には染色・縮み・風合いの変化など細心の注意が必要になります。
特性上、繊維が乾くとシワが伸びにくいため、水洗いを行う場合は、濡れた状態でのアイロンがけも考慮した上で洗ってください。
また、吸湿性が高く、しみを繊維の奥まで浸透させるため、しみ抜きも高度な技術が要求されますので、シルク製品は技術のあるクリーニング店に相談しましょう。