クリーニング屋さんが教える還元漂白剤”ハイドロハイター”の使い方。
漂白剤として売られているハイドロハイターですが、使い方がイマイチわかりずらいと思うので解説していきます。
ハイドロハイター
品名:黄変回復用漂白剤(還元漂白剤)・衣料用漂白剤
用途・成分・使い方・使用上の注意
用途・成分・使い方・使用上の注意などを成分表通りに細かく見ていきましょう。
用途
白無地衣料専用
・塩素系漂白剤による一部樹脂加工品の黄変の回復
・鉄分の多い水による黄ばみの回復
・洗っても落ちない鉄サビ、赤土の黄色いシミの回復
使える繊維は白色限定です。尚且つ生成り(きなり:漂白あるいは染色をせずにさらには晒すこともしていない素材そのものの布地や糸を指します)の服にも使用不可です。色付きの衣類は色が抜けたり、変色します。
塩素系漂白剤による一部樹脂加工品の黄変の回復とありますが、樹脂プリントなどの接着樹脂全般を使用しているものに、塩素系漂白剤を使うと黄色く変色する場合がありますが、そもそも衣類に塩素系漂白剤は使わないでください。
塩素は、染色を壊し繊維を傷め衣類の劣化を促進させます。塩素系漂白剤を使う事で白くなりますが、繊維が溶けて細くなっているだけです。
実際、クリーニングの現場では黄変した樹脂加工品を還元漂白剤を使うことで回復する場合がありますが、かなり限定的ですし、技術的な作業になりますので、高い確率で回復しないか失敗するかの二択なのでおすすめしません。
洗っても落ちない鉄サビ、赤土の黄色いシミの回復ですが、サビはかなり限定的な薬品でしか落とすことはできませんが、還元漂白剤はサビには効果的です。キッチン周りのサビなどは還元漂白剤で落とす事ができます。
成分
二酸化チオ尿素(還元系)、アルカリ剤(炭酸塩)、金属封鎖剤、安定化剤、蛍光増白剤
細かく見ていくと、
二酸化チオ尿素(還元漂白剤)、炭酸塩(アルカリ剤)、炭酸水素ナトリウム(ph調整剤)、ニトリロ酢酸ナトリウム(金属封鎖剤)、ポリエチレングリコール(安定化剤)、クエン酸ナトリウム(安定化剤)、蛍光増白剤、香料となっています。
主成分は還元漂白剤である二酸化チオ尿素です。還元漂白剤は酸素に触れると還元力を失う非常に不安定な薬品なので、アルカリ剤や安定化剤が入っています。還元漂白剤は基本的に抜染剤として使われるものなので色物の衣類は脱色します。
金属封鎖剤であるニトリロ酢酸ナトリウムは、水中に含まれるカルシウムイオンや鉄イオンなどが他のイオンと結合するのを阻止する働きをします。界面活性剤が水道中のカルシウムイオンや鉄イオンとの結合を阻止するもので洗濯用洗剤にも入っています。キレート剤とも言います。
蛍光増白剤は、黄ばんだ繊維を白く見せるための染料です。目に見えない紫外線を吸収して、目に見える青白い光(蛍光)に変えるため、見た目の白さを増す効果があります。ブラックライト光ります。
液性
液性は弱アルカリ性となっています。主成分である二酸化チオ尿素自体は、ph4.0の酸性ですが使いやすくするために弱アルカリ性にしてあると思われます。
使えるもの
白無地で水洗いできるせんい製品(木綿、麻、化学せんい、毛、絹)
ポイントは白無地で水洗いできる繊維です。木綿、麻、化学せんい、毛、絹は生成りのものが多いので、使えるのは真っ白いTシャツとタオル系くらいでしょうか。
衣類に使用するには、かなり限定的になるのがわかると思います。
使えないもの
水洗いできないもの、きなり・色物・柄物の繊維製品、金属製の付属品(ファスナー、ボタン、ホック等の留具)がついた衣料(繊維自体が変質して黄ばんだものは、元にもどりません。)とあります。
結果、衣類には不向きで、使えてもかなり限定的になることがわかります。
まとめ
自宅で、衣類に還元漂白剤を使う場面は、まず無いかと思います。
使うとしたら、作業をしててサビがついてしまった時など、部分的に使う程度が良いでしょう。(使える衣類は限られますが)
ハイドロハイターは、衣類用漂白剤とありますが、衣類以外のタオル系、布巾やキッチンまわりのサビ落としなどに使う程度が良いと思います。
衣類には、塩素系・還元系はNG。
衣類には、酸素系です。